toggle

オリーブオイルができるまで

 

『春』

 

プロヴァンスの春は他よりも早く始まります。

3月はこの土地の人たちにとってはオリーブオイルの仕事始めの月でもあります。

農園ではこれからオリーブオの木が元気に、そして美しい果実をつけてくれることを願いながらオリーブオの木の間に生えた雑草取りに、人々は忙しく働きはじめます。

 

 

5月になるとオリーブは真っ白い小さな花を咲かせシャトーヴィランのドメーヌは真っ白な花の絨毯で覆われます。

やがて南仏のミストラルが優しく吹くと花粉が空を彷徨い受粉し、オリーブの木は針の頭の様な小さな果実をたくさんつけます。

春の終わりはオリーブオの剪定の時期です。

オリーブの木のエネルギーが無駄にならない様に、地面に垂れた枝や木の中に入り込んだ枝を取り除かなくてはなりません。

 

『夏』

 

太陽の光が眩しい南仏の夏はとても乾燥します。喉が乾くのは人間だけではなく、オリーブの木も同様です。

しかし7月はオリーブの種が大きくなる時期なので、無駄にタネを重くしない様にほんの少しの水しか与えられません。

8月に入ってやっとオリーブオの果肉が着く頃になると、月に2回、夕方に水がたっぷり与えられます。

オリーブオの木にとって、貴重な潤いの時間です。

この水やり以外に、もう1つ大事な夏の仕事として害虫駆除があります。

プロヴァンスの眩しく美しい夏に惹かれるのはツーリストだけではないのです。

一番の害虫はオリーブミバエです。

オリーブの果実に卵を産み付け、その卵が孵って害虫となり果実を食べて穴を開けてしまいます。

その様なオリーブの実でオリーブオイルを作ると酸化したオリーブオイルが出来てしまいます。

シャトーヴィランではハエの関心を騙す為にフェロモンを使った罠を仕掛け、オリーブミバエを効率よく駆除しオリーブの木を守っています。

夏の終わりになると、オリーブの実が少しだけ摘み取られます。

腰にカゴを巻きつけた男たちと女たちがオリーブの果実の色や大きさを見ながら丁寧に手摘みしていきます。

これらの肉付きが良く繊細なオリーブの実はアペリティフ用に加工されます。

 

 

『秋』

 

10月に入るとそろそろオリーブの実の本格的な摘み取りをしてもいいかどうかの判断を見極める為、試験的にオリーブの実が摘み取られ果実に含まれるオイルの量や香りなどが分析されます。

この分析結果と果実の色や肉質の状態、そして長年の経験により蓄積された作り手のノウハウよって摘み取り時期のベストなタイミングが決められます。

摘み取りの時期が決まるとオリーブの木の下には網が広げられ、熊手などを使ってオリーブの実がふるい落とされていきます。

オリーブオの実は素早くケースに入れられムーランへ運ばれます。

そして洗浄されて枝葉が落とされ、12時間以内に砕かれ、ペースト状になったオリーブの実が練りこまれていきます。

その後、遠心分離機によりオリーブのペーストは撹拌されて、グリニョンと呼ばれる固形物(種や皮)、オリーブの実に含まれる水分、そしてオイルに分離されます。

グリニョンと水分が取り除かれ最終的にオリーブの実のオイルだけが抽出されます。

オイルは酸化してアロマが損なわれない様に、又光に晒されないようにガスを含んだステンレスのタンクの中で貯蔵されます。

 

 

『冬』

冬は新しいオリーブオイルが出来上がる時期です。

出来上がったオリーブオイルは毎年、パリの農業ジェネラルコンクールに出品され、一連のオリーブオイル作りが終わります。